農場づくり 農業の起源/農耕・牧畜の始まり/ホモ・サピエンス

自分のやっている仕事は

本当に人を幸せにできるのか?

本当に自分自身幸せで幸福感を感じているのか?

動物たちは幸せなのか?

苦しんでいるのか?

確かに愛情をもって

家畜と接し

育てているが

そもそも殺して食べる為に家畜を飼い

食べるならまだしも

人に売って

その代金で

自分の生活をよくするため

自我の欲望を満たすため

家畜を騙し

その命を利用しているのか?

家畜を利用しなければ自分は生きられないのか?

 

単純に良いことなのか?

悪いことなのか?

 

農耕とは?

牧畜とは?

何なのか?

 

凄い昔の話ですが

人類が農耕を始めたころに戻って考え直したいと思います。

 

250万年前

途方もなく遠い昔

縄文時代とか平安時代のレベルではなく

人類の起源までさかのぼります。

 

人類(ホモ)は何種か存在したようです。

ホモエルガステル

ホモ・エレクトス

ホモ・エルガステル

ネアンデルタール人

ホモとは(人)と言うラテン語からきています。

それまでは狩猟採集が中心で

それでいて高度な政治・宗教がそれぞれに確立し社会生活が

200万年以上続いていました。

このころの人類は

文字を持たなかったため

その詳細は知りようがありません。

少数の土器(木器)や生活跡からいろいろな説が

考えられていますがあくまで想像であり

正解であり、不正解であり

そのどちらでもなく

「それもあったかも」のレベルでしかありません。

ほんの断片しかわからない世界です。

殺し合いもあり平和でもあり

物に恵まれもし

また貧困でもあった。

しかし200万年以上もの長きにわたり

続いていました。

これは紛れもない事実です。

 

ホモ・サピエンス

サピエンスとはラテン語で「賢い」という意味です。

賢い人

おこがましくもこのように名前が付いた人類種

私たちの祖先がこの種にあたります。

 

人類はアウストラロピテクス(南のサルの意味)から進化しました。

ホモ・エレクトスやホモ・ネアンデルターレンシスが

ホモ・サピエンスに進化した

のでは無く

同時に

それぞれの場所で進化した同属の別の種であり

それぞれの地域において社会を形成し

特に劇的に進化もせず

環境に与える影響は取るに足りず

「動物」として

何万年にもわたり

生息していたそうです。

 

 

人類の決定的な特徴は脳が大きく発達していること。

2足歩行ができること。

その重たい脳は、利点のみならず大きな欠点を抱えています。

頭蓋骨で守らなければならず重いこと。

かつ燃費がわるいことです。

ホモ・サピエンスの脳は体重の2~3%程度とされていますが

身体を動かしていない休息時でさえ消費エネルギーの25%のカロリーを消費します。

人以外の霊長類、チンパンジーやゴリラなどの脳は8%程度です。

そのカロリーを確保する為に2通りの方法が採用されました。

一つには多くの時間をかけ、食料を探さなければならないこと

二つ目には、筋力を落とすことです。

脳にカロリーを与える為、その他の器官の消費カロリーを進化の過程で落としていったのです。

二つ目の特徴である2足歩行では

遠くの獲物を見る為には有利に働きます。

2足で立つと手が使えるようになり

手を使って複雑な動作ができるようになりました。

その為、いろいろな道具を作成し使用できるようになります。

最古のものは250万年前の道具が発見されているそうです。

しかし2足での直立歩行も利点のみではなく欠点があります。

そもそも脳が小さかった動物ですので

両手をついて4足歩行での何百万年にかけて発達してきました。

その為、直立歩行ができる体には発達しておらず未熟な状態です。

人類は、卓越した視野と両手の使用の代償として

腰痛と肩こりに悩まされるようになりました。

特に、女性は大きな代償を払うようになります。

直立歩行には骨盤廻りを細くする必要があったため

産道が狭まりました。

ただでさえ大きくなった頭蓋を通さなければならないのに

産道が狭まり出産時の死亡率が上昇します。

その為、長い年月を経て未熟な状態、小さな状態での出産が常態化し

他の動物に比し出産後、その子供は長い時間をかけ育てなければ生存できないという特徴があります。

馬は生まれて数時間で立ち上がり走れるようになりますが人類には多くの年月が必要になったのです。

 

それでも人類の暮らしは他の動物たちと遜色なく

ヒョウやライオンに怯えながら暮らし

食物連鎖の頂点ではありませんでした。

ライオンなどの肉食獣が食べた食べ残しを食べ

木の実などを採取して必要なエネルギ―を確保していました。

その中の特徴として、骨の中の骨髄を食べていたそうです。

残った骨と少し骨についた肉片を食べるうちに

骨の中に食べれる物があることに気づき

それを取り出し食す。

鳥の種の中で樹木の中に寄生する虫を捕食するキツツキのように。

一説によると石器は骨髄を取り出すための道具が始まりであるとされています。

このような人類が

いかにして食物連鎖の頂点に立つに至ったのか?

その前にあと二つ

大きな特性を挙げておきます。

一つ目は「火」が使えるようになったことです。

他の動物たちは自分の身体的能力が個々の能力の限界です。

鷲は羽を広げ上昇気流を使い上空高く飛ぶことができますが

その飛ぶ能力は、上昇気流をつかむための羽の大きさに比例します。

上昇気流が無いと高く飛べないし上昇気流を自由に起こすことはできません。

しかし人は火を使えるようになってからは

その火を使い力の弱い女性でも森を焼き尽くすことができるほどの能力を手に入れました。

これによりライオンなどの猛獣から防御するすべや

調理により食べられる食物や食物を消化する速さなどが

変わります。

5時間かけて噛み続け消化していたものが

1時間で飲み込むことができ消化しやすくなりました。

また、火により雑菌を殺すことで菌などによる食中毒を減らすことができたと考えられます。

このことで腸が短くなりその分の消費カロリーを脳へ回すことが可能となったとされています。

また相互コミュニケーションにおいて

意思伝達の手段を発達させました。

それが二つ目です。

それぞれ動物は意思伝達により敵が近くにいること

食べ物があることなどを

伝達しているといわれています。

これは人に限ったことではありません。

アリも特殊な匂いで

サルも

イルカも

多くの伝達手段を持っています。

しかし人はより複雑な事項を

伝達することができるようになり意思の疎通能力を発達させました。

「川の向こうに食べ物がある」を

「川の向こうの林を抜けて右手にある池のそばの大きな栗の木の下に」の様な具合に

意思伝達において敵の位置や食べ物の位置のみではなく

集団内に置いて「うわさ話」によりその能力が飛躍的に伸びたとされています。

誰が誰と寝ている

誰が食べ物を持っている

誰と誰が仲が悪い。

などの情報交換手段として伝達力が発達したのです。

これらは集団の中で生存していくためには欠かせない能力で

どうすれば一番生存できるか?

どうすれば一番強く賢く優良な種を残せるか?

に直結する為、必然として発達したといわれています。

これは現代の人類にも共通する事柄の一つなのかもしれません。

ホモ・サピエンスは

この意思伝達能力に非常に丈け

集団としての統率、行動力を飛躍的に伸ばします。

そして徐々にこの能力を生かして、地球全体へ

現在の東アフリカ

中東

アジア大陸を経て

アメリカ大陸へ

そして、それぞれの地域から広がり移動しながりながらら分布し

他の人類を滅ぼし

多くの動植物種を食べつくし

絶滅に追いやりながら広がっていったとされています。

 

このようにして何万年もの年月をへて

現存する人は我々の祖先である、ホモ・サピエンスのみとなりました。

力では大型のネアンデルタール人の方が強い。

一対一の戦いでは勝てなかったでしょう。

現に、争いになりネアンデルタール人が勝利した証拠も残っています。

しかし、ホモ・サピエンスは力ではネアンデルタール人には劣りますが

その集団能力で他種を圧倒し

他種を滅ぼしながら全世界を支配しました。

 

 

人類はホモ・サピエンス一種になりました。

 

それから何万年も過ぎ

約1万年前

サピエンスは動植物のある種の生命を自ら操作して

採取するという手法を始めます。

これが農耕のはじまりであり

「農業革命」といわれるものです。

 

人類史において

三大革命とは

「意識革命」

「農業革命」

「科学革命」

の三種だと「サピエンス全史」🔗の著者であるユヴァル・ノア・ハラリは言います。

 

フランス革命や産業革命

はたまた〇〇革命では?

と思われるかもしれませんが

それはごくごく最近の話。

人類史で大きく視点を広げると

この様になります。

その中で特筆すべき一つである

「農業革命」についての話です。

 

紀元前9500年前から8500年前

トルコ、レバント地方 中東で始まり

一部の地域のみでゆっくりと始まった。

紀元前9000年ごろ

小麦

ヤギ、エンドウ豆やレンズマメの栽培

紀元前4400年前ごろ

ラクダ、カシューナッツ

そして

紀元前3500年前ごろには

現在のカタチである家畜化及び栽培化はほぼ完成し

その後の2000年間、目新しい動物の家畜化や

植物などの栽培化はほとんど進化していない。

今日でさえ私たちが摂取するカロリーの9割以上は

紀元前9500年から

紀元前3500年前に

私たちの祖先が家畜、栽培化した動植物から摂取している。

おもしろいのは

家畜化や栽培化には制限はないと

私は思いこんでいたけど

紀元前3500年前までにありとあらゆることが試され

それ以降は

家畜化・栽培化ができる種と

出来ない種があるということにホモ・サピエンスは気づき

2000年前以降、進歩していないという点です。

こうしてホモ・サピエンスは

一部の動植物を家畜栽培化し

その生活様式を変えていきます。

一世紀ごろには大多数が

農耕民として生活することになります。

 

学者の多くがこの農業革命を

人類の大躍進であるかのように伝えてきました。

知能の高いサピエンスが狩猟採集民たることを捨てた。

こうすることでより多くの食料が

簡単に手に入ると考えてのことであると。

狩猟採取による不安定な生活ではなく

自分たちでコントロールできる

豊かな生活を選んだとされていました。

(私もそう思っていました)

 

 サピエンス全史の著者であるユヴァル・ノア・ハラリによると

約10000年前

人類はある特定の動物や植物を育て始め

人生のその大部分を

雑草を抜き、土を耕し、水をやり、栄養を与えることに

使うようになった。

農業革命は新しい時代の安楽を告げるには程遠く

 農耕生活は狩猟生活に比べて

困難で満足度の低い生活を余儀なくされた。

狩猟採取生活はもっと多様で刺激的な時間を送り

飢えや病気の危険が小さかった。

貧しくとれる食料の総量は増えたものの

より良い食生活やより長い余暇には結びつかなかった。

それどころか人口爆発と飽食のエリート層による支配を生み

苦労して農耕民が働いても

狩猟採集民より得られる食料は劣っていた。と

農業革命は

史上最大の詐欺」であったとしています。

 

ユヴァ・ノア・ハラリ曰く

サピエンスが小麦を栽培化したのではなく

「小麦がサピエンスを奴隷化した」と。

ほんの一部の植物に過ぎなかった小麦が

今や全世界に広がっています。

種の生存繁栄という観点から見ると

小麦の大躍進は誰の目から見ても

確かに、疑いようのないものではないでしょうか?

小麦や米の栽培は非常に難しく手間がかかるります。

乾燥に弱く大量の水を必要とし

栄養分を他の植物を分かち合うことが苦手で

常に雑草を取り除かなくてはならない植物で

かつ寄生虫や昆虫などから常に守ってやる必要があります。

この為、サピエンスは人手が必要になり

集団でまとまって暮らす必要が出てきます。

小麦の周りに世話役として定住が必要となる。

英語で「domesticate]は栽培化や家畜化という意味があります。

本来ラテン語では「家」を表す[domus]

という単語に由来するそうです。

では家に住んでいるのは誰か?

小麦ではなくサピエンスにほかならないと。

 

移動が困難で定住が必然となり

多様であった食生活が単一化され

乏しい栄養と労働を強いられるようになります。

定住化に伴い人口が増加し

それをまかなう食料が必要となります。

ラットレースの始まりです。

その為、組織化し大規模化し

大量の小麦が必要となる。

支配階級が生まれ

支配するものとされるものの格差

ヒエラルキーが生まれます。

人が集まる都市部においては

人々の糞便処理やゴミの処理が不十分で

というかそんなものは行われず

疫病が蔓延し衛生状態の悪化と

栄養失調が常態化するという結果につながる。

こう見ると大躍進どころか

食物や家畜の奴隷となるという言い回しが

あながち的外れではないような気がしてきます。

そしてなにより

あれ?

これって「今でも同じことが起こってない?」

という気にさせられます。

この史上最大の詐欺は今でも続いており

世界人口の増加と

それをまかなう食料生産

今や世界人口は87億人に達し

2050年にはあと少しで100億人に達するとされています。

紀元前1世紀からの約2000年間でサピエンスはもうあともどりはできなくなった。

農耕から狩猟生活へ戻りたくても

農業革命以来の人口増加と環境変化は

後戻りを許さない。

何世代もの間に

気づかないうちに

一瞬一瞬では変化は感じないが

長い時間で見れば、しかし確実に。

扉は閉じられた。

 

支配階級が生まれ

帝国が生まれ

宗教が生まれ

思想が生まれ

科学が生まれ

バイオテクノロジーが生まれ

人工知能が生まれ

そして現在

人口の爆増と

食糧問題

気候変動

私たちが生活するうえで

実感として感じない変化は

今もものすごいスピードで加速し

進んでいる。

2000年以降の変化速度はこれまで人類が経験したことのない速度で

変化を続けているといわれています。

 

危機感をあおる気はありませんが

これはおそらく事実な様な気がします。

テスラのCEOであるイーロン・マスクが

火星への移住を国家規模で考えるに至った

その思考過程も

納得がいく。腑に落ちる。

 

日本人は特に気が付かないのではないでしょうか?

日々の実感として生活の中に危機感を感じにくい。

私自身も感じない。

目の前が豊かで物にあふれ

必要なものは何でも手に入る時代。

息子や娘たちを見ていても

そう感じます。

何も変化していない。

「これまではこれからも永遠に続く」と

信じている感がします。

ふと我に返ると、私自身も日々変化には気が付きませんでした。

気が付くと、このようになっていた。

ほんの20年前

インターネットがこれほどまで普及すると予想できたでしょうか?

SFの世界のように

人工知能が現実になると想像できたでしょうか?

10年後はどのような時代になっているのでしょうか?

これまでと同様

気づかないうちに

徐々に

しかしものすごいスピードで

変化する。と

 

そして人間と穀物との取引は

サピエンスが行った唯一の取引ではない。

ヤギ

ニワトリといった

動物の運命に関して

行われた取引もあります。

 

革命の犠牲者たち

 

 家畜化されが動物は

それぞれ食糧(肉、卵、乳など)

原料(革、脂、羊毛など)

労力を提供した。

 人類が世界中に広がるにつれて

同じくして羊、豚、ヤギ、ニワトリなどの家畜も世界中に増えた。

 約1万年前、アフロユーラシア大陸(アフリカとユーラシア大陸)の

ほんの一部にしか生息していなかったこれらの動物は

今や羊が10億頭

豚が10億頭

牛が10億頭以上

ニワトリは250億羽以上となる。

世界中に分布する大型哺乳動物の

順位づけでは

第1位はホモ・サピエンス

第2位は家畜化された牛

第3位は家畜化された豚

第4位が家畜化された羊となり

進化

の狭い視点で見ると

種の成功はDNAの複製(後世へ多く子孫を残す)

で決まるとされるので

農業革命は

家畜たちにとって素晴らしい恵みであった。

と考えられる。

しかし

ユヴァル・ノア・ハラリは

進化の視点は

成功の物差しからすると不十分であると言う。